2・発酵食は栄養が豊富です
この代表例が世界に誇る「納豆」という発酵食です。
納豆は、よく蒸した大豆を納豆菌によって発酵させたもので一般的には、
「糸引き納豆」を指すものです。
納豆は健康価値の高い食品ですが、その原料である大豆そのものにも、
健康に効果のある成分がたっぷり含まれています。
畑の肉と呼ばれるほどに豊富な「植物性たんぱく質」を筆頭に、
「ビタミン」「食物繊維」「カルシウム」、ポリフェノールの一種である
一粒一粒に栄養がギュッと詰まっているのです。
さらに、コレステロールの吸収を抑えることで近年話題になっている
「植物ステロール」も含まれています。
納豆をつくりだす納豆菌は、わらや枯れ草、土の中など、
日本中どこにでもいる菌です。
納豆の健康価値は広く知られていますが、
これは大豆の栄養をそのまま受け継いでいるというだけではありません。
大豆と納豆菌が一緒になって発酵する過程で、
ポリアミンやビタミンなど両者の持つ健康成分を増やしたり、
「ビタミンK₂」「ナットウキナーゼ」といった
新たな健康成分を生み出したりしているのです。
また、納豆菌そのものにも免疫力を高める力があることがわかっています。
栄養いっぱいの大豆と、それ自体が健康成分である納豆菌。
この2つが力を合わせることで、ビタミンK₂、ナットウキナーゼという成分が
生み出されます。
また、大豆や納豆菌に含まれていたポリアミンも増加。
これらは、近年続々と健康効果が発表されている注目成分なのです。
1・ビタミンK2
股関節骨折予防
血中ビタミンK₂濃度と納豆摂取量には相関がみられ、
股関節骨折率とは逆相関があることが調査によって明らかになりました。
関東以北と比べて納豆消費量の少ない関西で、骨折率が高いこともわかっています。
2・ポリグルタミン酸
血糖値上昇抑制効果
納豆のネバネバの主成分であるγ―ポリグルタミン酸は、
多くの発酵食品の中でも納豆に多く存在し、血糖値制御に関係しています。
実際に米飯と納豆を一緒に食べた時に米飯のみを食べるのに比べ、
食後の血糖値の上昇やインスリンの過剰な分泌を抑えられていました。
3・ナットウキナーゼ
血栓症抑制効果
ナットウキナーゼは血栓の主成分に直接働きかけて
溶解する作用があることがわかっています。
健康な人たちを2グループに分けて、納豆あるいは煮た大豆を食べてもらった後で
血液を調べた結果、煮た大豆グループの血液中には
納豆グループでは8時間に渡って血栓を溶かす働きが持続しました。
4・大豆イソフラボン
更年期症状緩和効果
納豆の発酵により、腸から吸収しやすい
女性ホルモン(エストロゲン)の化学構造式とよく似た働きがあり、
女性の美容と健康に役立つ成分として大変注目されています。
ホルモンバランスを整え、のぼせやほてりなどの
更年期症状の改善効果があることがわかっています。
5・ポリアミン
私たちの体内でも作られているポリアミン。
加齢によってポリアミン産生作用は落ちてしまいますが、
食品から摂ることで、補うことができることがわかっています。