ヘキスト(Hoechst AG. 現在 ニュートリノヴァ社 Nutrinova)の
ドイツ人化学者カール・クラウス (Karl Clauß) により
1967年に偶然発見されたものです。
日本では2000年4月に食品添加物に指定され、
使用基準及び成分規格が定められました。
それ以降、多くの食料品、特に清涼飲料水や酒類に使用されるようになったのです。
また2008年には医薬品添加物に指定されています。
アセスルファムカリウムはオキサチアジノンジオキシド誘導体で、
6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4(3H)-オン-2,2-ジオキシド
(6-methyl-1,2,3-oxathiazine-4(3H)-one 2,2-dioxide) のカリウム塩。
分子量 201.24 の白色結晶粉体をなし、分子式は C4H4KNO4S 。
アスパルテームと異なり、熱・酸(pH3~7)・酵素に対し比較的安定であるため、
パンやクッキー、貯蔵期間が長い一部の清涼飲料などの製品にも利用できます。
共存物質と反応しにくいため臭いの発生や、
メイラード反応による着色性はありません。
また水や、エタノール・グリセリン・プロピレングリコールの溶液などにも
よく溶けるため、飲料・漬け物などに適しています。
アセスルファムカリウムは、スクロース(ショ糖)の200倍の甘味を有しています。
スクロースと比較して、甘みが感じられやすく、後を引かない。
すっきりした味で、後味が不自然とも感じられます。
ただし、サッカリンと同様に、特に高濃度の場合は後味が僅かに苦いものです。
このため、苦味が混じった甘みと感じる場合があります。
後味の改善のため、アスパルテームなど甘味が長続きする甘味料と
併用されることがあります。
他の高甘味度甘味料と併用すると相乗効果をもたらす性質があり、
アスパルテームを同量添加すると甘味度が40%強化されます。
またショ糖・果糖・糖アルコールなどの糖質甘味料との併用でも甘味度が1
5~30%強化されます。
この他、フェルラ酸ナトリウムを併用すると、
アセスルファムカリウムが持つ苦みの混じった悪い後味が
マスキングされるという報告がなされており、
クラフトフーズが特許を取得しています。
またアセスルファムカリウム自体にも他の味のマスキング効果があり、
酸と併用すると酸味・苦味を和らげたり、
食塩と併用すると甘味度が鋭敏になり苦味が減少します。
ショ糖やエリスリトールやキシリトールと併用すると
ボディ感(コク・深み)が増すのです。
フレーバーエンハンサー(風味強調剤)としての性質があり、
チョコレート・コーヒー・ココア・紅茶などに微量添加すると、
風味を引き立てる作用があります。
なお、アセスルファムカリウムは非う蝕性で、
口腔のバクテリアも代謝しないため虫歯の原因物質にはならないとされています。
安全性についてですが、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)の評価では
変異原性・ガン原性は認められず、本物質・加水分解物ともに毒性試験では
無害、各種動物実験でも安全性が確認されているとされています。
1日の摂取許容量は0~15 mg/kg体重。
しかし、他の人工甘味料と同じく
発がん物質の塩化メチレン(注・01)が含まれているので
絶対安全だとはいえません。
塩化メチレン(注・01)
ジクロロメタンともいう。化学式 CH2Cl2 。
無色の液体,沸点 39.95℃。有機物をよく溶かし,
水よりも比重が大きく (1.37) ,水に難溶のため抽出溶媒として,
特に油脂類の抽出に用いられる。またアセチルセルロースの溶媒として
多量に使用されている。溶解力が大きく,
洗浄剤としても使用されるが,毒性があり,注意が必要。