ドイツでは風邪気味の時にはフェンネルやカモミールのお茶を飲むのだとか。
中世ドイツの有名な修道女であり、神秘家、音楽家、ドイツ薬草学の祖であり、
中世ヨーロッパ最大の賢女と呼ばれるヒルデガルトは、
ハーブの薬効やそのレシピ、自然療法についての本を書いており、
ハーブティーをいろいろな方法で日頃の体の手当てに用いています。
ドイツにはドイツの伝統や植物の力を活かした自然な暮らし方や手当てがあって、
ヒルデガルトのメソッドが、今もドイツには生きています。
ヒルデガルト療法では特に体を癒す効果の高い植物としてハーブは最重要視され、
中でもフェンネルは、消化器系の万能薬であり、
血液の浄化をもたらすとも言われています。
咳や痰にもよく、子どもにはよい睡眠をもたらすとも。
ヨーロッパでは母乳の出が良くなる事でも知られています。
よくドイツでは風邪気味の時にはフェンネルやカモミールのお茶がよく飲まれています。
オーガニックのフェンネルシードを購入し、すり鉢でつぶしてからお茶を作ると、
素晴らしい薫りで癒されます。
毎日のお茶の時間にフェンネル茶。
これからの季節の風邪予防に、食べ過ぎに強い味方となります。
英語名からフェンネルといいます。中国植物名は茴香(ういきょう)。
地中海とヨーロッパが原産。
古代エジプトや古代ローマでも栽培されていた記録が残っており、
ヒトが特に古くから栽培してきた植物の1つ。
フェンネルは人類史において、数千年ほど前の古い時代から
栽培されているハーブの一つ。
原産地の地中海沿岸では、古代ギリシャ人が利用し、
人々は空腹を抑えるためにフェンネルを食べたのです。
古代ローマ人は野菜として食べ、ローマ軍の遠征によって
ヨーロッパ全土へと広まっていきました。
胃腸の働きを整え、視力をよくする力があるとされ、
古代ローマの戦士たちにも携帯されていたといわれています。
ローマのパン職人は、パンに風味を加えるために、
パン生地の下にフェンネルの葉を置いてパンを焼いたようです。
中世ヨーロッパでは、村人が夏至祭の前夜に、災いや魔物から家を守る目的で、
他のハーブと一緒に戸口に吊るしていたり、虫を追い払うためにも用いられました。
長い礼拝の合間によくフェンネルの種子を噛んでおり、
カトリック教徒も断食日の間の空腹を紛らわすために種子を食べたようです。
1657年、植物学者のウィリアム・コールズは、
著書の中にフェンネルでつくったジュースやスープを肥満患者に食事で与えると、
その患者はやせて細くなると言及しています。
「低い草木の上に塔のようにそびえる黄色い花をつけたフェンネル」と歌っています。
昔から、腸内ガスによる膨満感、通風、さしこみ痛、胸やけ、膀胱炎、
コリック(疝痛)、痙攣などの予防に使われてきています。
生薬としては、ウイキョウの果実が使われます。
同じセリ科のイノンドと同様に、
健胃、消化促進、抗酸化、腸内ガスの排出(駆風)、抗膨満、去痰などの
薬効が有るとされています。
フェンネルの芳香は、女性ホルモン(エストロゲン)と同じ働きをする
フィトエストロゲン(植物性エストロゲン)が豊富に含まれていますので、
女性の更年期障害のほてり(ホットフラッシュ)や
不眠、不安の症状の改善に効果が出るといわれています。
漢方では、安中散に配合される生薬の1つとして知られ、
また太田胃散(漢方+西洋薬の処方)、口中清涼剤の仁丹などにも使われ、
年間100トンが製薬原料として消費されています。