3・依存症(癖になる)
私たちが美味しい物を口にすると、ドーパミンなどの神経伝達物質が分泌され、
満足感を得ます。
そして「もっと食べたい」と思います。
私たちが食べものから身体にエネルギーを取り込む際、
その調節に重要な役割を果たしている神経系を「脳内報酬系(註5)」と呼びます。
脳内報酬系は「快楽中枢」とも呼ばれ、
自分へのご褒美を与える神経システムなのです。
ところが、「もっとたべたい」という欲求が強くなりすぎると、
喜びがコントロールできなくなり、習慣化、乱用、依存、
そして中毒へと移行していきます。
ドーパミンは、いつも出ているわけではありません。
私たちが日常生活で何か行動し始める時、ドーパミンが分泌されます。
私たちの何らかの行動によって脳が感動や喜びを覚えたときも
ドーパミンが分泌され、私たちに「快楽」をもたらします。
例えば、映画、スポーツや音楽などに強く感動したときに、
脳内でドーパミンは分泌されます。
食事を始めると、私たちの体内ではドーパミンが分泌され、食欲が増します。
そのうち、連続した学習により、食べものを想像するだけでドーパミンが
分泌されるようになります。
例えば、食べもののテレビCMや写真、料理の音やにおいを感知しただけでも、
ドーパミンが分泌され食欲が増進します。
ところが、食事に対する「快楽」への欲望が強い場合には、
ドーパミンが過剰に分泌されます。
そして、薬物依存症と同じように、大量のドーパミンで過食に陥ってしまいます。
過食により一時的な快感や興奮、満足感が得られますが、
その快感はすぐに消失し、再び暴飲暴食をしてしまいます。
それは、次第に習慣化し、食欲に対するバランスが崩れて
コントロール不能状態となり、「甘いもの依存症」に陥ってしまいます。
4・その他の作用
・腸内細菌との関係
最近の研究では、サッカリンやスクラロースなどの人工甘味料が腸内細菌叢
に変化をもたらし、肥満や耐糖能障害、
糖尿病のリスク上昇など様々な生活習慣病に
悪影響もたらす可能性が報告されています。
・うつ病
一部の人工甘味料にはセロトニンやドーパミンなどの脳内神経伝達物質を減少させ
セロトニンやドーパミンは脳内でチロシンやトリプトファンから作られています。
チロシンやトリプトファンの血液脳関門の通過をブロックします。
・腎機能低下
人工甘味料入り炭酸飲料(ダイエットソーダ)を1日2杯以上飲んでいた人は、
飲んでいなかった人と比べて腎機能が30%低下していたという報告があります
(11年間の観察、米国ハーバード大学)。
毎日、人工甘味料入り炭酸飲料(ダイエットソーダ)を飲んでいた人は、
心血管系疾患を発症するリスクが43%高かったという報告があります
(コロンビア大学)。