アメリカンフットボールチーム「フロリダ・ゲーターズ」のために、
同大学の医学・生理学者であったロバート・ケード博士によって開発されたものです。
ゲータレードという名称は、チーム名と飲料を意味する「エード」の合成語。
ゲーターズは1967年にゲータレードを公式に導入しましたが、
その年に初めてオレンジボウルに進出して勝利するというめざましい成績を上げます。
ケード博士はこの飲料に関する権利をフロリダ大学に譲渡しようとしたのですが、
大学側が応じなかったため、1968年に製造権が
ストークリー・ヴァンキャンプ社に委譲されます。
その後同社はクエーカーオーツカンパニーに買収され、
クエーカーオーツが2000年12月にペプシコに買収されたため、
ペプシコ傘下のブランドとなっています。
日本では、1970年4月に大正製薬が導入して販売を開始。
当初の製品は、スクリューキャップを使用した250mlガラス瓶入りのものと
粉末タイプでしたが、大正製薬はわずか1年で撤退します。
その後、日本アイソトニックが販売権を取得したが資金難に陥り、
当時サッカニーシューズを輸入していたスポットビルト(アジア)が
アイソトニックを吸収し、販売は継続されました。
そしてスポットビルトは改めて米国ストッコリーバーンキャンプ社と
ライセンス契約を結び、得意とするスポーツ用品店ルートを使い、
ユーザーが水に溶いて飲む粉末スタイルを浸透させることで
爆発的な人気を得ました。
スクイーズボトル(水筒)をはじめとする様々な
ノベルティが小中学生のファッションとなり、
スポーツ飲料マーケット(注・01)を独占的に作り上げます。
しかしさらなる拡大を希望するアメリカサイドとの意見が合わず、
商権は雪印食品 → 雪印乳業(現:雪印メグミルク)に移ったのですが、
缶や瓶入りに商品を変えたことが原因で流通コストがかかり
苦戦することになります。
しかも、それに追い打ちをかけるように大塚製薬が発売した
ポカリスエットがマーケットに登場すると、
市場の主役はポカリに移ってしまいました。
スポーツ飲料マーケット(注・01)
スポーツ中の脱水症や熱障害を予防するため、さまざまな工夫がなされた飲料。
かつてスポーツ中に水を飲むことは、体内のバランスを乱すなどの理由で
戒められてきた。
しかし激しいスポーツ活動では、多量の汗をかき、
体内の水分が失われ,脱水症や熱障害の原因にもなる。
アメリカスポーツ医学会が勧告を出すなど、
スポーツ活動中の飲水が積極的に支持されるようになってきた。
これと呼応するようにスポーツドリンクといわれる飲料が商品化され、
イオン飲料、アイソトニック飲料などとしてさまざまな種類が市場に出回っている。
浸透圧を体液と同じかやや低くしたり、汗で失われる電解質を成分に加えたり、
エネルギーを補う目的で糖質を加えるなどの工夫が施されている。
しかし、重要なのは飲料の成分より水分を補給して脱水を防止することにある。
(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「スポーツドリンク」から)