マグネシウムの吸収率は、カルシウム、リン、フィチン酸、脂肪酸、食物繊維
などを一緒に摂取することにより低くなる場合があります。
マグネシウムはナッツ類や魚介類、豆類に多く含まれており、
特に魚介類に多い理由は、マグネシウムが海水に多く含まれているためです。
牛乳や肉類には少ないため、肉類が多い欧米型の食事よりも魚や
大豆製品の多い和食のほうが効率良くマグネシウムを摂取できます。
また、玄米にもマグネシウムが多く含まれます。
マグネシウムはすべての細胞や骨に広く分布し、
精製・加工していない食品にはまんべんなく含まれているため、
通常の食事をしている健康な人の場合、
欠乏症が起こるほど不足することはほとんどありません。
しかし、摂取が少なくなりがちな栄養素でもあるため、
2004年からは栄養機能食品の栄養成分にも追加されています。
さて、マグネシウムの歴史ですが、
古代ギリシャのマグネシアという地域で採掘される鉱物が、
様々な病気を治す効果があると評判になり、鉱物中に含まれていた有効成分が、
土地の名前にちなんでマグネシウムと名付けられました。
また、1915年、アメリカの生化学者デニスが、
血液中にマグネシウムが含まれていることを発見しました。
1931年には、アメリカの研究者マッカラムらが、
子どものラットをマグネシウムの少ないエサで飼育すると
11~12日で血管拡張、痙攣などの欠乏症が発症し、
それらはマグネシウム塩を与えることによって治ることを明らかにしました。
その後1934年、心臓不整脈、血液中のカルシウムの減少、
血中コレステロールの増加がマグネシウムの欠乏によって起こること、
腎臓の組織に変化が起こることも見出しました。
マグネシウムの欠乏症についてですが、通常の食事をしている場合、
マグネシウムが不足することはほぼありません。
ただし、睡眠不足や運動不足が続いている時、ストレスが多い時には
体内のマグネシウムが消費されるため、
マグネシウムの必要量が多くなります。
また、肉や加工食品、清涼飲料水などに多く含まれるリンを過剰に摂取すると、
マグネシウムの吸収が妨げられます。
大量のアルコールを摂取したり、利尿剤を長期間使用すると尿とともに排出され、
マグネシウム不足になることもあります。
不足状態が悪化すると、発育不全、筋肉の痙攣、
皮膚や筋肉などへのカルシウム沈着、神経過敏症などの神経症状、
不安や抑うつ症などの精神症状、記憶障害、注意力散漫などの症状が現れます。
また、骨粗しょう症や糖尿病などの生活習慣病の危険性も高まります。