ホーステールは和名「スギナ」。
東アジアの原産で、北半球を中心として広範囲に分布しており、
日本でも北海道から九州にかけて多く自生しています。
このハーブは有史以前のはるか昔には、
今のような姿でなく大木であったと言われています。
ホーステールの名は、文字通りこのハーブの形が
馬の尻尾に似ていることに由来しています。
ホーステールにはシリカ(二酸化ケイ素)やカルシウムといった
栄養素が豊富に含まれており、これらの成分が体の傷や傷跡の修復を早めます。
止血効果もあり、出血を止めて傷口の回復を助けます。
また、ホーステールは髪の毛にうるおいを与え、骨や皮膚の再生を助け、
爪のトラブルを改善してくれます。
ホーステールは生命力の強いハーブで、道端や土手など至るところに自生しています。
栄養素が豊富に含まれているホーステール(スギナ)ですが、
駆除するのが難しいことから雑草としては大変な嫌われ者です。
このハーブには葉がありません。茎の節々から輪状に多くの枝を伸ばします。
なお、春先にひょっこり顔を出す「つくし」は、
ホーステール(スギナ)の胞子茎です。
和名のスギナは草の形がスギに似ているから、杉菜と名がついたという説や、
節のところで抜いて継ぐことができたことから、
継ぐ菜から転訛したという説があります。
本草綱目には、節と節とが互いに接しているので接続草として登場します。
学名のEquisetumは、ラテン語で馬を意味する「equus」と剛毛を意味する
「seta」を組み合わせた言葉が由来といわれ、
種小名のarvenseは「耕作地」を意味します。
英名はfield horsetail、bottlebrushと言います。
これはスギナが馬のしっぽに似ていたこと、
ケイ酸を多く含むことから研磨剤としての用途にそれぞれ由来します。
5~7月に全草を採取し、水洗いしてから天日で乾燥させます。
これを生薬のモンケイ(問荊)といいます。
腎臓炎、利尿、肋膜炎、去痰、膀胱炎、回虫駆除などに、
モンケイの煎じ液を服用します。
また、皮膚疾患や漆かぶれには外用として用いられます。
ドイツではスギナに全身の代謝促進作用のあることが知られています。
特に結合組織強化剤としてリウマチ疾患、脚の浮腫、凍傷、骨折後の後遺症、
痙攣性子宮周囲病などにはスギナエキスの座浴が良いとされています。
これは研磨剤の用途の説明と同様に高濃度のケイ酸によるとされています。
このようにスギナは食用や薬用資源として重宝される一方で、
繁殖旺盛で手がつけられない頑固な雑草として嫌われる場合があります。
実際に本学の薬草園でも例外ではありません。
ツクシの芽吹きを合図に、スギナとの格闘が始まります。