クレソン(water cress)は、アブラナ科の多年草で、
別名をオランダカラシといいます。
「カラシ」と名が付くように、ピリッとした辛味が特徴です。
水生の植物で、水中や湿地などの水辺に生育します。
原産地は中部ヨーロッパですが、現在は世界各地に自生している植物です。
クレソンが日本に入ってきたのは明治時代初期と考えられ、
繁殖力や適応力の強さから、河原に自生しています。
国内生産量は年間約730トン(平成30年産地域特産野菜生産状況より)、
その半数以上を山梨県と栃木県が占めています。
クレソンの旬は春で、葉が青々としてやわらかいのは3~5月です。
茎も食べられますが、夏に入ると茎が硬くなるため食味のよさに欠けます。
ただし、施設栽培をおこなっているケースもあり、
年間をとおして市場に出回る食べ物です。
ビタミンやミネラルが豊富で、身体に欠かせない栄養素を多く含んでいます。
とくに、かぼちゃやにんじんなどの緑黄色野菜に多く含まれるβ‐カロテンも豊富です。
★クレソンの効果・効能
β-カロテンは、ビタミンAの前駆物質でプロビタミンAとも呼ばれる栄養素です。
体内でビタミンAに変換されたβ-カロテンは、
皮膚や粘膜の健康を維持する役割を果たします。
また、老化物質である活性酵素の増加を抑制する抗酸化作用もあるため、
美容効果が期待できます。
クレソンには、日本かぼちゃよりも多くのβ-カロテンが多く含まれており、
皮膚・粘膜の健康維持や免疫増進に効果的です。
モリブデンとは、体内でさまざまな物質の代謝を助ける微量ミネラルです。
肝臓や腎臓に存在し、食べ物に含まれるプリン体を尿酸へと分解して、
尿として排出します。
さらにモリブデンは、炭水化物や脂質、鉄の代謝を促進する効果のある栄養素です。
モリブデンは造血作用にも影響を与え、不足すると貧血を招きますが、
通常の食事でモリブデンが不足することは少ないと考えられています。
葉酸は、遺伝子合成や赤血球合成に関与する栄養素です。
とくに妊娠中の女性で葉酸の摂取量が不足すると、胎児の発育に障害が起こり、
神経管閉鎖障害のリスクが高まります。神経管閉鎖障害とは、
本来妊娠初期に作られる神経管がうまく形成されず、
胎児に学習障害や麻痺などの症状が現れる病気です。
シニグリンとは、クレソンや芽キャベツなどのアブラナ科植物に含まれる成分です。
血行促進や、消化促進などの効果があると考えられています。
植物内にはシニグリンとして存在し、カットやすり潰しによって
組織が破壊されることで、
アリルイソチオシアネートと呼ばれる辛み成分に変わります。
イソチオシアネートは、抗炎症作用・抗酸化作用・抗がん作用が期待される物質です。
クレソンを生のまま食べるなら、サラダがおすすめです。
ドレッシングをかけていただきます。
砕いたナッツやサーモン、生ハムを乗せると、
また違った雰囲気のクレソンサラダになります。
シンプルな味のクレソンのサラダに合うドレッシングは、
イタリアンドレッシングやシーザードレッシングなど、
さっぱり系からこってり系まで幅広いことが特徴です。
クレソンの栄養をそのままに、お好みのドレッシングと具材で摂取できます。
栄養素を逃がしにくいサラダはおすすめの食べ方ですが、
加熱調理することで違った食感を楽しむことも可能です。
クレソンは、炒め料理の具材としても使えます。
たとえば牛肉と炒めてメイン料理にしたり、細かく刻んだクレソンを
チャーハンに混ぜたりと、ほかの葉物と同じように使える幅が広いのが特徴。
春巻きやチジミ、おひたしにするのもおすすめです。