最初は、今日が何日か、といった時間の感覚が失われ、
しだいに自分がいる場所もわからなくなります。
さらには幻覚や妄想(もうそう)が現れ、
社会生活や日常生活にも支障をきたすようになります。
従来、日本では認知症の6割が脳血管障害によるもので、
アルツハイマー型は3割程度とみられていましたが、
近年は脳血管障害だけによる認知症はそれほど多くないと考えられています。
最近の研究では、脳内のアセチルコリンという
関係していることがわかってきました。
また、この病気の人にみられる脳・神経細胞の萎縮や脱落は、
活性酸素の害が影響をおよぼしているとも考えられています。
脳内に異常なたんぱく質が蓄積し、神経細胞が変性・脱落して脳が萎縮していきます。
ひどい物忘れや時間・場所の見当識障害などの症状に始まり、
高度の認知症となります。初老期(65歳未満)に発症するアルツハイマー病(AD)、
老年期(65歳以上)に発症するアルツハイマー型老年認知症(SDAT)、
家族性アルツハイマー病(FAD)などがあります。
ドイツのアルツハイマーA. Alzheimer(1864―1915)が、
65歳以前に発症する認知症症状(痴呆症状)が進む脳の疾患を
アルツハイマー病と名づけましたが、その後65歳以上にも、
臨床所見のみならず脳の病理所見が類似する疾患があることがわかり
(アルツハイマー型老年痴呆)、両者をあわせてアルツハイマー型痴呆というようになったのです。
しかし、痴呆という用語を用いなくなったためにあらためてこれを
「アルツハイマー型認知症」あるいは「アルツハイマー病」というようになり、
まだ用語が確定していません。
一部のアルツハイマー病では常染色体異常と思われる所見がみつかっており、
疫学的にも家族集積性(長く住食をともにする人が同じ病気に罹患しやすい傾向)が
みられ、アルツハイマー病それ自体が遺伝性疾患であると断定することはできません。
発症の危険性は食生活や運動習慣などと関連して論じられていますが、
決定的なことはいえません。
]また日ごろから知的活動を積極的に行う人には発生が低いともいわれています。
日本のアルツハイマー病の出現頻度は欧米諸国に比べるとなお低く、
これを食生活に結びつける意見もあります。
日本でよくみられるのは血管性認知症であすが、
これは男性に多く、アルツハイマー病は女性に多いのです。