症状としては認知症症状を呈するが、なかでも記憶障害や見当識障害、
注意障害あるいは空間認知障害などがみられ、新たな学習にも障害があり、
問題解決能力が低下する。ときには被害妄想(もの盗られ妄想など)や
関係妄想がみられることもあります。
疾病の進行は3期に分けられる。第1期は記銘障害をおもにした記憶障害で、
短期記憶の成立が低下する。軽い性格変化が加わり、被害的な言動を示すこともあります。
第2期にはものを正しく捉えたり、因果関係を見極める力が低下して判断力が落ち、
臨床症状としては失認や失行が現れ、失語もみられることがあります。
着衣失行などが現れるようになるので生活に支障が生じ、介護が必要になります。
第3期は認知症症状が高度になり、周囲に対する関心も低下して自発性が極度に低下します。
感情の変化も乏しくなり、ぼんやりしてつかみどころのない表情を示すことが多くなる。
診断は臨床症状を詳細に検討するとともに、
認知症症状についてはMMSE(簡易認知機能検査)や
長谷川式簡易知能評価スケールなどの心理検査を行います。
一方で脳のCT(コンピュータ断層撮影)やMRI(核磁気共鳴映像法)
あるいはSPECT(シングルフォントエミッションコンピュータ断層撮影)や
PET(ポジトロンCT)などの画像診断を行います。
治療は、認知症症状の進行を遅らせる薬剤として
アセチルコリン分解酵素阻害薬である塩酸ドネペジル(「アリセプト」)が認可され
使用されている。
卓効があるタイプとそうでないタイプがあるようで、
効果がみられないときには使用をやめるべきであるとする意見が強い。
そのほか日本では使用許可が下りていないが
塩酸メマンチンが効果があるとする報告もあります。
予防としては知的活動を継続するだけでなく、身体を動かすことも重要であり、
とくに指先などを細かく動かす運動が推奨されます。
(日本大百科全書から引用)
大脳皮質の広い範囲に特殊なたんぱく質「レビー小体」が増加し
神経細胞を壊すことにより発症する認知症。三大認知症の一つで、
全体の約20%を占める。略称DLB。レビー小体病ともいいます。
1976年に小阪憲司医学博士らにより報告され、95年に病名が正式に付けられました。
75~80歳くらいの年齢に多く見られ、男性の発症率は女性の約2倍とされます。
初期の段階で本格的な幻覚(特に幻視)があらわれやすいのが特徴で、
うつ症状・誤認妄想・手の震え・運動障害なども引き起こします。
2017年時点で完治が可能な治療法はないが、
ドネペジル塩酸塩(商品名アリセプト)が効果があるとされ、
14年9月に日本で、16年4月にフィリピンで同病の適応対象薬として承認されました。
知恵蔵から